またもやチキショー!ハラショー!

須田雅美

セルゲイとメリア、ハネスと私達の5人でお食事に行ったのが2009年の10月。あの時は予約したロシアンレストランが臨時休業で、ロシア人が経営しているナイトクラブに行く事になって、結局ロシア料理は食べらなかったものの、ウォッカを男性3人で500mlずつ飲んでベロハチになりました(もじもじまさみ「チクショー!ハラショー!」参照)。で、2年越しとなったロシアンレストランでのお食事会は「本場ロシア、モスクワで♪」となりました。
7時にロビーで…という約束だったので部屋で待機していると「ちょっと早めに出かけられる?」とセルゲイから電話があったので焦って準備をしてロビーに行くと、いかにも「顔にもお金かけてます☆」という感じのセレブなマダムとメリアが楽しげに会話をしていました。アンナ・モリナーリらしき服を着たマダムはマリーナさん…メリアには友人だと紹介されたけど、どう見たって友人と言うよりはスポンサーでしょ(-_-)ま、それは良しとしよう。ここで男性3人はタクシー、お嬢さんを含めた女性4人はマリーナさんの旦那様の車でレストランに移動する事になりました。

<お食事に出かけます>

ロシアの中心部は一方通行が多いだけでなく、路駐だらけなので激しい交通渋滞に巻き込まれます。でも、マリーナさんと話をしているととっても楽しくて、時間が経つのも忘れてしまうほど…彼女はどうやら有名な映画館のオーナーらしく、メリアいわくマリーナのお友達は有名人だらけ。例えば「私、〇〇ってスケート選手の大ファンなの」って話すと、すぐさま携帯を取り出したかと思うと「はい、本人よ。話してご覧(^^♪」って憧れのスターと話す事ができちゃったりするみたい。そんな行動派のマリーナさんは「メリア達と出会ってラテンダンスの美しさの虜になったのよ」と熱く語ってくれました。そしてどうやら前日のコンペ中に「ブラヴォー!」と最初に叫んだ女性はこの情熱的なマリーナさんに違いない!と確信しました。

さて、到着したレストランは「カフェ・プーシキン」ガイドブックには必ず載っている有名店。この日は友人ばかりなので、メリアも超リラックス〜(#^.^#)

建物自体は何度も建て直されているそうですが、中に入ると外国らしく薄暗くて時代を感じさせるような重厚な雰囲気。マリーナさんが予約して下さったのは秘密のダンジョンみたいな階段を上った暖炉のあるお部屋The『 Fire Place』 Hallでした。18世紀末に建てられ、有名な作曲家のリムスキー・コルサコフが住んでいた邸宅の一部だそうです。

<暖炉がある重厚なダイニングルーム>

ウェイター、ウェイトレスは全員流ちょうな英語を話す事ができ、料理の説明だけではなくレストランの建物の歴史や説明を丁寧にしてくれました。また、VIPならではの待遇なのか「後ほどこのレストラン全体をご案内致しましょうか?」と申し出てくれました。
お食事のオーダーはマリーナさんにお任せ。「今日は典型的なロシアンスタイルのディナーを食べてみてね」と言いながら「それにはウォッカも必要よね☆」と言うと、前回ウォッカでイタい思いをしている3人のボーイズは全員が苦笑い…これは横で見ていて可笑しかった^m^
テーブルの上にはグラスもカトラリーもフルコース用にセッティングがしてあり、最初にピロシキとパンが出てきました。そして、まずはシャンパン、続いてウォッカで乾杯!なんとなくノリで、私も頂いちゃいました。普段アルコールを飲まない…ていうか、飲めない私がシャンパンとウォッカのチャンポンなんて、自殺行為なのに(>_<)

<乾杯はチャンポン♪>

プハーッっとなってる私にマリーナさんが「MorsというクランベリージュースにはビタミンCがたくさん入ってるから、ウォッカを飲む時にはたくさん飲んだ方がいいのよ」と言われ、がぶ飲みしました。これが後であんな事になろうとは…(^_^;)

前菜としてまずパンケーキとスメタナ(サワークリーム)がみんなのお皿に配られます。

そして、うやうやしく小さな銀のカップに入って出てきたのは『赤いダイヤ』と『黒いダイヤ』…『イクラ』と『キャビア』でした\(^o^)/私はどちらも大好き!しょっぱくてプチプチしてる魚卵が、小さな頃からなぜか好きなんです。以前ロシアに来た時もてんこ盛りにして食べてものすご〜く幸せでした。でも近年キャビアは乱獲され過ぎて、今では本当に希少価値の高い(そして値段も高い)珍味となってしまいました。このレストランでもメニューの中でずば抜けて高級で、イクラの数十倍もしていました。

<黒いダイヤ>

前菜が次々と盛られていくので「前菜にこれだけ食べたら身体もデカくなるわなぁ」とロシア人の身体のデカさに納得。数種類の魚のマリネも盛られたのは意外でした。もっとお肉が多いかと思っていたのです。「モスクワのそばに海はないよね…輸送にお金と時間がかかってるから、昔だったら高級だよなぁ」と帝政ロシア時代に思いを馳せました。

<お魚のマリネ、蟹のサラダ、ポテトマリネ>

全部は無理なので、一口ずつ前菜を頂いたあたりでウェイターさんが「レストラン内をご案内しましょうか?」と来てくれたので、酔っぱらってきていた私もトイレに行きながら見て回ろうと思いました。1階部分は19世紀にドイツ貴族の所有していた薬局建物そのままらしく、当時のままの薬棚やカウンターにはアンティークの秤や薬壺などがうまくインテリアとして使われていました。

<The Hall>

私はcuriousな性格なので、修学旅行のように歴史を聞きながら歩くのって大好き!が、歩いたことで酔いが更に回ってしまいそのまま地下にあるトイレへ(>_<)その地下は「The Hall」と呼ばれる部分で、薬局として使われていた頃は薬の調合や実験に使われていたらしく、言われてみればなんとなくミステリアスな空気が漂っていました。そこにはクロークとトイレ、他にはプライベートルームがありましたが、アチコチに置いてあるアンティークに目もくれず、一目散にトイレへε==ε==(ノ゜д゜) 。優しいセルゲイ君が私を待っててくれました。

そのままお部屋に戻り、しばらくするとマリーナさんの友人が途中参加。とっても明るい、ちょっとロシア人らしくない顔立ちの女性は、有名な歌手だとメリアが教えてくれました。
マリーナさんは本当に素晴らしいパーティーのホスト!(^^)!私がペレストロイカ直後にバレリーナとしてロシアを訪れた事を知ると、その当時の話をしてくれたり、お料理の説明をしてくれたり…全員が話を楽しめるように英語で会話をして下さるのには頭が下がりました。
むっくりとしたクマさんみたいな旦那様のミーシャさんは、若い頃2年ほど日本に滞在していた事があるそうで「僕は銀座よりも新宿のほうが好きだったな…」なんて仰るので「今や新宿は、ジャパニーズYakuzaよりもチャイニーズマフィアが怖い街になりましたよ」なんて説明しましたが、どうやらロシアンマフィア的なお仕事を生業とされているようだ…と翌日セルゲイに聞いてビビりました(~_~;)

「大丈夫?顔がグリーンだよ…」と言われつつもメインをオーダー。私は「肉か魚か?」と言われれば断然「お肉!」で、日本では普段食べないようなものが良いな…と思ってラムチョップをオーダー。出てきたラムチョップは想像をはるかに超える大きさで圧倒されました。この国の子羊ちゃんは、人間と同様デカいのかい(+o+)?

<ロシアンサイズのラムチョップ>

明先生は「ビーフストロガノフはあるか?」と聞き、迷わずオーダー。日本で食べるビーフストロガノフってハヤシライスみたいに赤いソースが多いと思うのですが、本場のビーフストロガノフは白いんです…ようするに牛肉のクリーム煮なんです。サンクトペテルスブルグに今でも残る、ストロガノフ伯爵家に由来しているそうです。

<本場のビーフストロガノフを食す>

羊のアブラにやられて、いよいよ気分が悪くなってしまった須田雅美…戦線脱落を宣言し、ホテルに戻る事になってしまいました。デザートも楽しみだったけど、グルグルまわってて無理でした(@_@)風邪気味だった明先生も一緒に帰る事になり、セルゲイがタクシーで送ってくれました。なんだかパーティーに最後まで参加できず、今回もまた「チキショー!ハラショー!」な気持ちです(´・ω・`)ションボリ