仕事柄のせいか、僕は人の歩き方が気になります。外でも、自分の前を行く人の歩き方をついつい観察しては、悪いところを探してしまいます。今のところ直接注意したことはありませんが。今では、歩き方を見てその人の性格や、精神状態なんかも読めるぐらいです。
‘良い歩き方’をしている人はあまり多くありません。僕自身、歩き方を誰かに習った経験はありませんが、以前に身体や運動理論に関する本を読んだり、またダンスを通じて学んだことから、僕なりの‘良い歩き方’があります。今回はそれを紹介したいと思います。
悪い歩き方にも人によっていろいろパターンがありますが、僕が見かける一番多い例は、‘振り出した足が地面に着くまでに、その前に出した足の上を体が通過して行かない’というものです。
例えば、左足を一歩出した瞬間、上体はまだ右足と左足の間にありますが、次の右足が地面に着くまでに、上体が先の左足を通過していれば、効率の良い歩き方と言えますが、多くの人が、歩数ばかり多い割には、上体がそれぞれの足を乗り越していないため結果としては、進まない、遅い、疲れるという状態にあります。雨の日、ふくれはぎのあたりに跳ね返りを浴びてしまう人は、まさにこの典型です。
ではどうすればいいのか?答えは簡単、‘腰を立てて、もも裏を使う’です。
まず‘腰を立てる’についてですが、脚を車輪、腰を荷台に例えるなら、上半身はそれによって運ばれる荷物と考えることができます。荷物がしっかりと荷台に固定されていなければ、車輪が動いたときに、荷物が荷台から転げ落ちる可能性ありますね。それと同じで、下半身と上半身がつながっていないと、体はうまく運ばれません。
上半身と下半身をつなげるのが‘腰を立てる’です。
具体的には、まず床に仰向けに寝てみます。大体の方が腰の辺りが床から浮いていると思います。その腰を床に押し付けるようにします。このとき、頭や肩が床から離れないようにしてください。背骨のカーブは人によって差がありますから、腰が床に付かなくてもかまいません。お腹が少しへこんで、腰が丸みを帯びて膨らんだ感じがすれば十分です。これが‘腰が立った’状態です。
垂直な壁を利用すれば、床に寝なくても同じことができます。どちらも、体の中で鳩尾(みぞおち)と肛門を結ぶ直線が、ふだんより少し短くなるのを感じながらやってみてください。腹筋やその下の腸腰筋が弱い人は少し大変かもしれませんが、これはきれいに歩く為には絶対必要ですから、トレーニングしてください!!
次に‘もも裏を使う’です。人間の体にはたくさんの筋肉があるわけですが、それぞれその役割は違います。脚を使って移動する場合、その役割の担い手は、ももの裏にあるハムストリングスという筋肉です。ももの前にある筋肉に比べると、力を入れようにも、あまり感じない部分なので忘れがちですが、このハムストリングスが意識的に使われると、歩く速度が速くなりますし、また疲れにくくなります。
具体的には、踏み出した側のももの裏の一番高い所(ヒップとの境)を誰かに押されているようなイメージで歩いてみてください。常にももの裏を押されているような感覚で歩くと、速度も距離も断然上がります。
以前、年配の生徒さんにこの歩き方を教えたところ、家から駅まで歩くのにかかる時間が大幅に短縮されたとおっしゃっていました。
階段を昇る時なんかも、もも裏を意識すると楽ですよ。
ちなみに、ももの前の筋肉は、強く立つ、運動を抑制するための筋肉ですから、ここに力が入りすぎるとスムースな移動ができません。是非使い分けてみて下さい!
さて、歩くということはある意味、左右の足でリズムを作っていると言えます。テンポのいい音楽を聴くと心も弾むように、歩くテンポによって気分も変わるのではと僕は思います。
駅から教室までの道のりは、意識的に歩幅を大きく、踵でコツ、コツと音をたてながら肩で風を切るようなイメージで歩くようにしています。「今日も一日仕事乗り切るぞ!」という気持ちで。これが僕の言うところの‘ブラピウォーク’(ハリウッドスターのブラッド・ピットのように歩くこと)です。
ソフトバンクの携帯電話のCMで、ブラッド・ピットが携帯を片手にカッコ良く歩く姿を見て、そう名づけました。ただ今、ブラピウォーククラブの会員募集中です。女性の方には、キャメロンウォークがお勧めです。女性らしさのなかにもさっそうとした強さを感じさせる歩き方です。
どちらも入会方法は簡単、カッコ良く歩けばあなたも今日から会員です。
言うまでもないと思いますが、体を運ぶと言う意味では、歩くこととダンスは同じです。皆さんの応用力に期待します。