よっちゃんのぶっちゃけた話
File 33
“偶然?そうかな、、、?”
2005/10/9
お久しぶりです。季節が移り変わるのは速いものでもう秋ですね。心が落ち着く季節です。
さて、今回はあるカップルの話をしたいと思います。そのカップルは学連の選手として僕の
ところにやって来ました。男の子はとても真面目で律儀、体は細いものの背すじの通った青年で、
女の子は普段はおっとりとした感じなのですが、踊ると表情が変わって、音楽を心で感じて踊れる
子でした。二人はとてもまじめで、また自分達のダンスを上達させようとするうえで、常に計画的
に練習をしている様子でしたし、レッスンの時も何を習いたいというのがとてもはっきりしていました。
ものすごく才能に恵まれているというわけではありませんでしたが、こつこつと努力を積み重ね、
最後の全日本戦ではパソドブレの部で準優勝という快挙を成し遂げてくれました。大学を終え、
社会に出てからも、学生の時ほどは時間を裂けないながらもアマチュアの競技会に出たり、
昨年結婚式を挙げた際、披露宴でデモンストレーションをしたのですが、それに向けての準備のために
レッスンに通ってくれました。
彼らのレッスンをしていると、二人の持つ不思議な力をいつも感じました。以前にも述べているよう
に僕はダンスを教える仕事が好きですし、それなりに自信も持ってやっていますが、それでも同じよう
に繰り返す日々の中では教えることに疲れたり、自信を無くしたりすることもあるのが正直なところです。
でもそんな時にこのカップルのレッスンをしていると、不思議と元気が出てきて、楽しい気分になり、
レッスンが終わる頃には、「この仕事やっていて本当によかったなぁ」と思えてしまうのです。
ただ、どうしてそんなふうに気持ちが変わるのかについてはあまり深く考えたことはなく、気が合う
からとか、二人に理解力があるからというぐらいに思っていました。今年の夏の初めのことです。
ある雑貨屋で、最近流行のメッセージ入りの和風ポストカードがたくさん並んでいまして、何気なく
眺めているとそのうちの一枚に目が留まりました。それにはこう書いてありました。"信じるとは
相手にたいする期待ではなく自分への決心なのさ"と。僕の頭に二人が思い浮かびました。
'信じる'という言葉はポジティブなイメージがありますが、もしその言葉の裏に誰かに対する期待が
隠されているとしたら、どこか利己的でいやらしい感じもします。このカップルが僕のことを教師
として信頼してくれているのはそれまでも感じていましたが、このポストカードを見た時、
二人の僕に対する信頼は、僕への期待からくるものではなく、彼ら自身の強い決意からくるものなの
だと瞬間的に感じたのです。だからレッスンでも僕の言うことは何でも理解しようと努めてくれていたし、
それを忠実に自分達に取り入れようとしてくれました。もし仮に僕が何か無理なことを要求したとしても、
きっと彼らはそれに応えようとしてくれたと思います。こんなふうに自分を信じてもらえたら、元気にな
るのも自信が湧くのも当たり前です。信じてもらえるって、本当に大きなエネルギーを湧かせてくれるこ
とに気付きました。同時に、信頼に値する人間になれるよう自分磨きを続けなくてはと決意を新たにしま
した。僕はこのポストカードに会うべきにして会ったと感じています。
実はこのポストカードに出逢う一週間ほど前に、彼の転勤で二人は名古屋に引っ越しました。
送別会を兼ねて最後に彼らと食事をした時、僕が、「名古屋でも教室探してダンスやれば。」
と言うと、二人は迷うことなく、「先生以外の人にはダンスを習うつもりがないので。」
と返してくれました。そんなふうに言ってもらってどんなに嬉しかったことか。でもね、
その時は胸が詰まって言えなかったけど、君たち二人を結びつけたものがダンスであるなら、
二人と僕の絆を築いたのがダンスであるなら、どんな形でもダンス続けて欲しいな。
誰かに習うことになってもそこにはまた素晴らしい出逢いがあるかもしれないし、
他の人に習ったからといって僕との信頼関係が壊れるわけじゃない。離れていても、
何をしていても、僕が二人を大切に思う気持ちは何一つ変わらない。なぜなら僕も二人のことを
信じているから。
本当は今回の話は彼らに手紙にして送ろうと思っていたのですが、こんなに素敵なカップル
との思い出を僕一人の胸にしまっておくのはもったいないので、この場を借りて紹介させて頂きました。
ちなみに、このポストカードは福岡出身のK作という人の作品で、僕が見つけたのは福岡の雑貨屋ですが、
都内でも東急ハンズなんかに置いているみたいです。他にも良いメッセージがいくつかありましたよ。
とは言っても、そのメッセージが意味深いかどうかは読む人のおかれている状況やその時の心境に
よって人それぞれですね。それに、メッセージとして作られたものではなくても、
普段の生活の何気ない瞬間にふと自分の目や耳に飛び込んでくる言葉たちも、偶然のようで実は
偶然ではないメッセージなのかもしれません。そういったものにもう少し心を留めてみたら、
もっとたくさんのことを発見したり、感じたり、学べたりするのではないか、のんなふうに思います。
では。
YOSHIAKI