世界選手権大会ラテンアメリカン2001観戦記


武井 知子


【日本からブラックプールへ】

 成田からロンドンまではヴァージンアトランティック航空で13時間の飛行時間で、 ヒースロー空港で1時間くらい乗り換え時間の後、国内線のブリティッシュミッドランド 航空で1時間でマンチェスターの空港に着きました。さらに、1時間ちょっとブラックプール に向かうバスに乗りました。乗り物酔いしやすい私にはかなりきつい長旅でした。セキュリティ ーのチェックはテロの影響で少し厳しくて、搭乗する時にランダムに手荷物をチェックしていて、 AY美さんは化粧用の小さいハサミを没収されていました。気温は現地の情報だとめちゃくちゃ寒 いので覚悟して来い、ということでしたが私は思ったより寒く感じませんでした。

 ブラックプールの町に入ると通り沿いに派手な電飾が施されていてあまりにケバイのでびっくりしました。 みんなが口をそろえて、ブラックプールって何にもないところだよ〜、と言っていたので本当に 人寂しいうらびれたところかと思ったら、ちょっとイメージ違いました。でも、日本で言うと 熱海みたいなところだっていう表現はピッタリだなって思いましたが・・・。 現地の友達に聞くと「ちょっとイカれた町だよー」なんて言ってました。どこの国でも海辺には 酔っ払いが集うらしいです。夜は危ないのであまり外出しないほうが良いと言われたのでその現場 は見ませんでしたけど。


【ホテル】

 インペリアルホテルと言うところでこの辺では一番グレードの高いホテルでした。 「インペリアルホテル」「ルームサービスでビール。ワンパイント とハーフパイント」 K子先生の部屋は日本風のインテリアの部屋で、冷蔵庫がついてました。私の部屋はシダの絵が かかっていて本当にイギリス風の部屋でした。冷蔵庫はありませんでしたが、広くて落ち着いた 雰囲気の部屋でした。









【土曜日】

 朝食後、北條先生の案内でウィンターガーデンの会場まで散歩しました。インペリアルホテルから 海岸沿いの道を歩いて20分くらいで、右手にトラムの線路がずーっとつながっていました。正面に 見えるブラックプールタワーを目標に歩けば迷いようのないわかりやすい道のりでした。



 午後からクローズドブリティッシュを見に会場に入りました。会場の様子は私が今 まで写真やビデオで見て想像していたとおりとっても広く、奥まで踊って戻って来るのが大変だと言 う噂どおりでした。その時はまだ競技が始まる前で、練習にフロアーは開放されていました。目に付 いたのはたくさんの子供たちで、親かコーチャーに付き添われて練習していました。そのなかに、 明&雅美が練習に来ていました。調子はとても良さそうでした。しばらくするとジャッジ紹介などの後、 ジュニア・アンダー21・ジュブナイルの競技が始まりました。

 第一予選の音楽はオルガンで演奏していて、子供がそれにあわせて踊るとなんだかぴったりでかわ いらしく、かわいらしいのですが、表情は大人顔負けでルンバなどは男と女になりっきって踊ってい るのがとても面白かったです。多くの子がモダン、ラテン両方にエントリーしていていました。両方 上位に入るカップルも何組かいて、親がものすごい声援を送っていました。不本意にも予選で落ちて しまった女の子が客席の片隅で泣いていて、そのお父さんが優しくなだめながら髪の毛を結い直して あげている光景もあり、微笑ましかったです。

 競技の合間にはバーでビールを飲んだり、別室でダンスショップが出店していて買い物などができま した。ドレス、CD、ダンスシューズなどが売っていて、日本で買うより結構安く買えるのです。 そこで、ダンスシューズを正価で買ったら北條先生に怒られました。何足かまとめて買っていたので 値切ったら安くしてくれました。さすが北條先生!

 メインイベントのアマチュアラテンは8時スタート、プロフェッショナルモダンは10時スタートと 夜遅いので、いったんホテルへ着替えに帰りました。すでにジャッジを終えた先生方も夜の準備の ために大急ぎで帰って行きました。身支度をしてホテルのロビーでタクシーを待っているとタキシード の紳士とドレスで着飾った女性たちが続々と部屋から降りてきてこの人たちみんなダンス関係者なんだ ろーな、と思って見ていました。もちろん私もドレスを着て行きましたが、着飾って華やかな場所に 行くのは楽しいものだなぁと思いました。会場に戻ってみると既にアマラテンが始まっていました。 アマラテンの印象は、女の子が上手!ということです。ジュニアラテンでもそう思ったのですが、 男の子がヘボヘボでも女の子はうまく1人で演技してどんどん踊っていってしまうのです。ジュニアの 男の子はまだ体が細くてとても女の子を支えられないのですが、女の子はお構いなくすごい早さで回転 したり足を上げたりすごいポーズをするのです。見ていてとても勉強になりました。アマラテンはジュ ニアに比べると全然、男性がしっかりしてますけど・・・。

 プロモダンはエントリー数が15組と少なく1予選、セミファイナル、ファイナル、と始まったと 思ったらあっという間に終わってしまいました。 優勝はクリストファー・ホーキンス組だったそうで すが、私は夜遅くてあまりに眠かったので結果を見ずに帰ってしまいました。そしてその夜、というか もう日曜日の朝なのですがまーちゃん(雅美先生)のロンドンレポートにもありましたあの火事騒ぎが あったのです。やれやれ、って感じでした。


【日曜日】

 開場は午後1時、前日のクローズドの時より会場は風船などで飾り付けられ少し華やかの感じになっ ていました。日本の応援団(北條ダンスのツアーだけでしたが)は北條先生から日の丸の旗を配布され 準備万端で席に着き、しばらくすると会場が暗くなり、オープニング のショーが始まりました。このショーが良くできていて会場をとても盛り上げていました。出演していた のは主に昨日のジュニアやアンダー21のファイナリストたちでしたが、とっても上手でレベルが高いな ー、と感心しました。

 ショーはピーターパンのウェンディー風の小さいかわいらしい女の子が一人で中央のいすに座っている ところからスタートしました。音楽はディズニーの「いつか願いが」だったっけ?女の子がひとりで ワルツを踊ってると小さな男の子が出てきて出会い、二人で踊りだすといったとってもロマンチックな シーンから始まりました。後は、ジュニアファイナリストたちのみんなでジーンズを着てストリート風の ラテンダンスもありカッコよかったです。こういった幾つかのフォーメーションで構成されていました。 ソロの部分もありジョナサン・クロスリーが出演していました。このショーが終わるとオープニングパ レードが始まりました。

 子供のプラカード持ちに先導されて世界各国の代表選手がぞくぞくと入場してきました。色々な人種が いてまさに世界選手権という感じで、肌の色だけではなく、背がすごく大きい人、小さい人、太った人、 足がすらっと長い人、すごく個性的な衣装の人、赤い髪、金髪、黒い髪、ひげが生えてる人、とにかく いろんな人がいて様々な個性の競演でした。みんな晴れ晴れとした笑顔が印象的でした。われらが 明&雅美と嶺岸組の日本代表は後ろの方の順番で入場してきて、彼らが入場した時は紙でできた日の丸の 旗がちぎれるほど振って声援を送りました。これが終わるとすぐに第一予選が始まりました。

 総エントリー数は52組、4ヒートに分かれていて嶺岸組は背番号21番2ヒート目、明&雅美は 背番号32番で3ヒート目でした。嶺岸組は個性的なダンスでアピールしていて、エネルギッシュに存在を アピールしていました。3ヒート目、待ちに待った明&雅美のダンスが見ることができ、「そうそう、 これを見に来たのよね〜。長い道のりだった・・・。」と感慨にふけってしまいましたました。 衣裳は統一戦の時と同じで明先生は黒のサテンで袖がシースルーになっているブラウスと黒のパンツ、 ウエストには笹谷久美先生がたまたましていたのをもらったという鋲のついた2重巻のベルトで、 まーちゃんは淡い水色でネックレスとウエストのベルトの所にふんだんにスワロフスキーのオーロラの 石を使ったドレスで、とても二人に似合っていました。ファーストダンスのチャチャチャからフルパワー・ フルスピード踊る彼らは世界の舞台でも全く遜色無く、周りの選手と比較すると体はすごく小さいけ どとってもシャープで切れの良いダンスを踊っていました。統一戦の時よりさらにうまくなった感じで、 体をよく使っていきいきと音楽を表現していました。なんだか日本の試合よりのびのびとして見え、 アグレッシブで挑戦的でした。

 第一・第二予選は明&雅美、嶺岸組共にクリアーし、第三予選にコマを進めました。 ここまでくると さすがに全体のレベルもアップし、観客に対するアピールも凄くて目の前に巡ってくる選手に目が釘付け になりました。自分達の前でよく踊っていたのはブレンデン・コール組、ポール・キリック組、マシュー ・カトラー組、スラビック・クリクリビー組などでした。やっぱりイギリス代表のポール組、マシュー組 は大人気でみんなに応援されていました。個人的にはスラビック組がカッコ良かったです。

 そしてゼネラルダンシングの後、セミファイナル。日本の競技会のように通過した選手の背番号を 張り出したりしないので、通過したかどうかはコールするのを聞くしかありません。司会の声をどき どきしながら聞きました。

 そして、結果は・・・コールされました!セミファイナルに入ったのは決勝メンバーのほかに北條組、 ルイ・アムステル組、ジャコモ・ステッガリア組、 セルゲイ・リョーピン組、ブレンデン・コール組、 ギャリー・マクドナルド組、でした。 かなり厳しいメンバーですが、よくチャンスをつかんだと思い ました。明&雅美のセミファイナルの踊りも限界までトライしていてとてもすばらしいものでした。 そして踊り終わった後、彼らは踊りきったという風な感じでさわやかな笑顔で観客に応えていました。 彼らは、世界に誇れる日本代表としてりっぱにやり遂げていてとても感動しました。

 セミファイナルとファイナルの間にルカ&ロレインのショーがありました。ロレインは白っぽいメイク と金髪で精霊のような独特の雰囲気で登場し、二人の自信に満ちた完璧な踊りに私たち観客は引き込まれ、 圧倒されました。すばらしいショーにスタンディングオべーションで賞賛を送りました。

 ショーが終わるとファイナルに移りましたが、残念ながら我らが明&雅美の番号はありませんでした。 結果は1位ブライアン・ワトソン組、2位ユッカ・ハパライネン組、3位ポール・キリック組、 4位マイケル・ウェンティンク組、5位スラビック・クリクリビー組、6位マシュー・カトラー組でした。 ファイナルはどの組もスピードが衰えることなく隙のないすばらしい踊りを披露していました。

 競技も終わり、明先生とまーちゃんを控え室に訪ねたところ、とてもよく踊れたせいか満足げなとても いい顔をしていました。思えば昨年、JBDFの選手でも世界選手権に出られる権利をやっと得ることができ、 そして今年ここでこのように踊ることができたのです。そう考えると、ホントーによかったなー、 と思いました。ブラック・プールまでの道のりと同様、日本代表までの道のりも遠かったのだ、 そういえば。見に来てよかった。うん。そして、表彰式も終わり閉会。私たちは7時くらいに会場を後に しました。