いよいよお仕事です

須田雅美

2009/10/1

9月26日(金)は、朝から会場でプロアマやアマチュアのスタンダード部門の競技会が始まっていました。私は様子を見たくてお昼頃に会場へ行き、壇上のジャッジ席に座らせてもらいました。司会を務めていたAnnaさんの旦那様アンドリューさんが「遠い遠い日本からはるばるやってきてくれたジャッジをご紹介します。」と私を紹介し、「どうです皆さん、とても国際的なコンペティションじゃありませんか!」と自慢げにアナウンスをしました。

参加者はほとんどが南アフリカ人、そして他にアメリカからもたくさんの参加者がありました。アリゾナから来た人達は28時間かかったって…私より大変!でも、みなさんと〜っても楽しそうに踊っていました。ひとくちにスタンダードといっても、インターナショナルスタイルとアメリカンスタイルがあり、5種目戦に出場もできれば単科でも出場でき、ビギナーからゴールドまでのクラスのクローズドとオープンの選手権、奨学金がもらえるカテゴリー…と本当に様々な部門があります。しかも、出場者数が少なかったりすると他のカテゴリーでも種目が同じなら一緒に踊らせちゃうんです。ジャッジは大変!!もちろん、採点表は分けて書いてあるけど、選手は分かれて踊ってくれないんです。見に来てちゃんと予習しておいて良かった(^o^)コンペはジャッジが一人ぐらい来てなくても、競技はじゃんじゃん進んでいくんです。ほとんど出ずっぱりの選手もいたのですが、お年を召した方もいらしたので「体調は?」と、ちょっと心配になるほどでした。

ジュニアなどの部門もあって若い子も出場していたけど、今回は特別にダンス普及の為の無料レッスンを15回ぐらい受けたチビッ子達がワルツ・タンゴ・スロー、ラテンはチャチャ・ルンバ・スウィング・ハッスルという7種類を披露してくれました。男女逆にホールドして踊りだそうとするカップルもいて、アンドリューさんがフロアに下りていってさりげなく直してあげて笑いを誘っていました。

プロアマのイベントは夕方まで。その後私には一つ、緊張する仕事が待っていました…テレビのインタビューです。ジャッジでたった一人の日本人なので、せっかくだからテレビ用にも良いと考えてオリエンタルな雰囲気のワンピースを選択。インタビューの場所に指定されたマイケル・ウェンティンクの部屋に呼ばれて向かいました。

そう、マイケルは南アフリカ代表のジャッジとしてこの番組とコンペに参加していたのです。この社交ダンスオーディション番組が始まってからずっと、ジャッジや振付家としてケープタウンで仕事をしていたようですが、自分では日本在住と思っているようです。六本木に友人と一緒に住み、私達と同じジムにも通っています。日本語はまだ話せないけど、人が話していることは段々分かるようになってきた…と話していました。今回の仕事を請けた時には「ゲスト審査員としてジャッジとしてコメントする」ような仕事という印象だったのですが、その後のAnnaさんとのやり取りで、プロアマのジャッジをするだけだ…と都合の良い方へ思い込んでしまっていたのです。リハで実際に自分もジャッジそしてダンサーのコメントもすると知り、ピンチ!!と思っても、そこから英語力が急に上がるわけでもなく、ここはB型の強み(?)「なんとかなるさ」です。そのインタビューに関してはすぐにGOODアイデアが浮かびました。小物を使ったのです。イブニングドレスに合わせて、ハイヒールだけでなく、いくつかのバッグも持参していましたが、その中に面白いのがあったんです。表に「ANGEL(天使)」裏に「DEVIL(悪魔)」とラインストーンで書いてあるバッグです。これを使って、審査中の自分の心を表現しようと考えたのです。テレビのクルーはまず赤い壁の前に座らせて「とってもキレイだよ!」と褒めてモニターを見せてくれ、リラックスするようにインタビュアーもベッドに寝転んだりしてくれてインタビューが始まりました。さっそく、今どんな心境でいますか?と聞くので、「なるべく『ANGEL』でいたいけど、場合によっては『DEVIL』サイドに行くかもしれませんよ…」とバッグを裏表させると全員大喜び!!その他、どんなところにジャッジの重点を置くか?とか、誰が優勝すると思うか?南アフリカ代表のダンサーをどう思うか?などと質問をされました。緊張したけど、なんとか終了。

夜のイベントはある意味翌日の為のウォーミングアップ。ジャッジは壇上に座り、選手達はフロアに2組ずつ出てきてタイマン勝負をするというグラディエータースタイルでラテン5種目が踊られました。勝ち抜き戦の予定でしたが、変更されてデモンストレーションのように踊らせるだけで終わりました。ジャッジの私達も、点数こそ付けないけどコメントをマイクで話すという仕事をしました。ある意味観客に対するご挨拶的なものではありましたが、選手のダンスをしっかり見てしまったので、翌日のTVのイベントに影響は大有り…といった感がありました。

他にはユースのカップルがスタンダードを踊ったり、アメリカと南アフリカのエキシビションダンサーがデモンストレーションをして花を添えましたが、意外だな…と思うことがありました。外国の競技会の印象って、観客が大騒ぎしているイメージなのですが、ちょっと日本に近いみたい…とっても静かなんです。これは企画した人達の誤算だったのではないでしょうか?だからアンドリューさんが「明日のTV撮影の時には皆さんの大声援が選手達の助けとなるんです。よろしくお願いしますよ!」と言わなくてはならないほどだったのです。

さて、本番は誰が優勝するのか?観客の反応はどう変わるのか?楽しみです。それにしてもジャッジ一日目終了。緊張してぐったりだ〜。